天然藍染における木灰の役割

藍染に使う木灰(木を燃やした灰)には、2つの役割があります。

ひとつはアルカリ剤としての役割。

もうひとつは色の定着剤としての役割です。


【① アルカリ剤としての役割】

灰を水に入れると、アルカリ性の水溶液=灰汁(アク)ができます。

藍はアルカリに溶ける性質があるため、

この水溶液=灰汁(アク)に蒅(すくも)を入れると、

蒅の中の藍の成分が灰汁に溶け出します。

溶け出した藍の成分を、蒅に含まれる菌が還元することで、

藍染ができる状態になります。

この状態を「藍が建つ」と言います。


【② 定着(発色)剤としての役割】

灰の水溶液=灰汁(アク)には、さまざまな物質が含まれています。

その中で金属塩と呼ばれる物質には、

色が定着したり発色したりするのを助ける働きがあると言われています。

天然藍染で植物系繊維を染めた場合に色落ちしないのは、

灰に含まれる金属塩が定着を助けてくれているからだと考えられます。


イイイロ(1116.blue)

僕が手がけるのは、日本古来の藍染。日本の天然素材だけで仕込んだ発酵液に浸して染めています。はじめて染めたのは、20歳のとき。京鹿の子絞りの絹のきものを染めました。1992年から藍染を生業に。現在は、木綿・麻などの植物繊維を中心に染めています。淡い色から濃色まで自在に染め分け、ムラなくきれいに染め上げます。天然染料特有の鮮やかな色の「無地」、京都の伝統工芸「京鹿の子絞り」の2つのシリーズを展開中。

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